甘酒に欠かせない「米麹」。
「なんとなく体に良さそう…」
「発酵食品だっけ?」
「麹と糀って何が違うの?」
身近な食品なのに意外と知られていない、「麹(糀)」のお話です。
「麹(糀)」とは、米や麦、大豆などの穀物に麹菌(コウジカビ)等を付着させ、培養・繁殖させたものです。
この麹を最適な温度で発酵させることで、日本酒や味噌、醤油、漬物など日本の伝統発酵食品の原料になります。
カビと聞くとびっくりするかもしれませんが、その歴史は古く、中国の「餅麹」が発祥と考えられています。日本には弥生時代、稲作とともに麹造りの製法が伝来したと考えられています。
「白」が神聖な色だった昔、神に供えた米に白カビが生える様子を見て「黴立(かびたち)」と呼んだそうです。それが訛って「かむだち」「かうだち」「かうぢ」「こうぢ」と変化して、今の「こうじ」となりました。
麹菌(コウジカビ)も、とても面白い微生物なので別コラムで詳しくご紹介しますね。
「麹」は中国から伝わった漢字で、米や麦、大豆など穀物全般のこうじを指します。
一方、「糀」は江戸時代から使われるようになった和製漢字です。明治時代に入ってからは、米麹を指す場合に「米糀」または「糀」と書くようになりました。
「米」に「花」と書くようになったのは、麹菌が繁殖して菌糸が伸びた状態が「まるで米にお花が咲いているようだったこと」が由来だと伝えられています。
とても素敵ですよね。
微生物研究に携わる人間としても、そんな昔からマクロな世界の美しさが注目されていたなんて、ちょっとロマンを感じてしまいます。
コラム内でも、お米の麹は「米麹」または「糀」と書いていきますね。
ピーネブランドでは、お米と麹菌の両方にこだわって甘酒を作っており、商品名では「糀」を使うようにしています。
ピーネのこだわりは別コラムでご紹介します。
→「ピーネの米糀」へ(近日公開予定)
改めて、麹が使われている食品とその一般的な製造方法を見てみましょう。
米糀だけ、または米糀に米を加えて「液化・糖化(発酵)」させたものです。
市販品のほとんどは、高温で加熱殺菌することで品質の変化を防ぎ、賞味期限を長くしています。
【液化・糖化とは?】
麹菌の持つ酵素(アミラーゼやグルコアミラーゼ、グルコシダーゼなど)が、米のデンプンをバラバラにして液状化させ、ブドウ糖にまで分解することです。
「発酵」と表現されることが多いですが、微生物が活動できない温度帯で酵素を働かせているので、実は「発酵」ではなく「酵素反応」の方が正しい表現になります。
麹に塩と水を加えて糖化(発酵)させた調味料。流通品の多くは高温で加熱殺菌されています。
未加熱の場合は、酵素活性が失われていないため、漬け込んだお肉などの表面を柔らかくする効果が期待できます。
日本酒造りに適した米と麹菌を使って米糀を製造、糖化(発酵)します。その後、酵母菌を加えてブドウ糖からアルコールを作らせる「アルコール発酵」を行ない、圧搾→ろ過→殺菌を経て製品になります。
味噌造りに適した麹菌を使って米糀を製造し、蒸した大豆と塩、種水を混ぜて発酵・熟成させます。
流通品の多くは品質が変わらないように加熱殺菌されています。未殺菌の味噌は、酵母菌がガスを産生しているため、ガス抜き構造のパッケージが使われています。
醤油造りに適した麹菌を使って大豆と小麦で醤油麹を製造します。その後、食塩水を加えて冷却、酵母菌を加えて発酵・熟成させ、圧搾→殺菌→ろ過を経て製品になります。
酵母菌を加えてアルコール発酵を行うところまでは、日本酒と同じです。その後、酢酸菌を含む「種酢」を加えて、「酢酸発酵」を行い、香味を引き出すために熟成させます。ろ過→殺菌を経て製品になります。
焼酎造りに適した麹菌を使って米や麦、馬鈴薯などの穀物で麹を製造します。焼酎用の酵母菌と水を加えて糖化と発酵を同時に行います。熟成後、蒸留→ろ過を経て製品になります。
蒸したもち米と米糀、米焼酎を混ぜて糖化・熟成させます。その後、圧搾→ろ過→殺菌を経て製品になります。
米糀に塩漬けした野菜、酢で締めた白身魚などを漬け込んで作ります。大根のべったら漬が有名です。福島では、米糀に塩と水を混ぜて漬け床にした「三五八漬け」があります。
こうして見ると、日本の伝統食品にとって麹菌や米糀がいかに大切かがよくわかりますね。
和食が見直されている今日、日本人としてもう少し知っておいても良いのではないでしょうか?
今後、それぞれの発酵食品についても詳しく(かつ、簡単に)まとめてみようと思います。
日本食について、お手軽に知りたいという方は是非、チェックしてみてくださいね。
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ライター:信田ゆり子