「甘酒」と名のつく飲み物、最近増えて来ましたよね。
例えば、○○酒蔵の甘酒、米麹甘酒、ノンアルコール甘酒、フルーツ甘酒、乳酸菌甘酒・・・。
これら「甘酒」は、どれも一緒だと思っていませんか?
中には、安価に製造するために原料の質が悪かったり、添加物が多かったりすることも。製造後の過加熱殺菌によって、本来の美味しさや健康効果を損なってしまっているものもあります。
様々な甘酒製品が出ている今だからこそ、私たち消費者自身が「良質なものをしっかり見極める目を持つ」ことが大切です。
今回は、数ある甘酒製品を大きく分類して、それぞれの特徴や購入時の注意点などをご紹介したいと思います。
「甘酒」は「酒粕甘酒」と「米糀甘酒」の大きく2つに分けられてきました。
しかし、最近になって第3の甘酒「乳酸発酵甘酒」が登場。甘いだけじゃない、爽やかな甘酒も選択できるようになりました。
(特徴)
酒粕を水で溶き、砂糖で甘味を調整したもの。酒粕の香りが特徴的で、アルコールが含まれています。砂糖以外にも、酸味料や安定剤が添加されていることが多いです。
加熱殺菌され、賞味期限が長く常温保存ができる商品が多くあります。
(ポイント)
アルコールが含まれるため、お子様や妊娠中の方は、念のため注意したほうがよいでしょう。
(特徴)
麹菌で米を発酵させて作る発酵食品。お米をブドウ糖に分解しているだけなのでノンアルコール。糖化発酵に使われた麹菌の種類によって、香りや甘さの質が変わります。
近年、健康効果の高さで注目を集めています。
→詳しくは「甘酒って体にいいの?」へ
(ポイント)
加熱殺菌され、賞味期限が長く常温保存ができる 商品が多いです。
未加熱殺菌の場合は、冷蔵保存中に原料由来の乳酸菌や酵母が増殖してガスが発生し、シュワシュワ炭酸飲料のようになることがあります。
(特徴)
米糀甘酒を乳酸菌で発酵させたもの。乳酸菌が作り出す酸味によって、甘酒特有の麹菌の香りや後引く甘さがサッパリまろやかになります。
乳酸菌はガスを作らないもの、味や香りをよりよくする菌種が選ばれます。さらに、「生きて腸まで届く」など健康効果が期待されるものが使用されることがあります。
さっぱりとした飲み心地なので(例えば筆者のような)従来の甘酒が苦手な人でも、飲み続けることができます。
(ポイント)
加熱殺菌され、賞味期限が長く常温保存ができる商品が多いです。ただし、乳酸菌も死んでしまうので、生きている乳酸菌を摂取したい場合は未加熱殺菌を選びましょう。
未加熱殺菌の場合、冷蔵保存中に酸味が強くなることがあります。
昔ながらの甘酒が飲みたい方 →「酒粕甘酒」
ノンアルコールで健康も意識したい方、添加物が気になる方 →「米糀甘酒」
従来の甘酒が苦手・乳酸菌の健康効果を期待したい方 →「乳酸発酵甘酒」
甘酒を買う前に、裏面の「原材料表示」を見てみましょう。
以下、市販の「米麹甘酒」に多く見られる原材料表示の例を3つご紹介します。
【原材料】米麹
【原材料】米、米麹
【原材料】米、米麹、乳酸菌
米麹のみ、あるいは米と米麹からできている甘酒です。
水分量が少なくてドロドロしたものから、飲みやすいよう調整されたサラサラのものまであります。添加物による味の調整がないため、お米本来の甘味やうま味、麹菌や乳酸菌による香りや雑味が強く感じられます。
【原材料】米、米麹、食塩
スイカに塩をかけたり、出汁に塩を入れたりする「塩の対比効果」を利用しており、甘味やうま味が増強されています。水分量が多くサラサラした甘酒、つまり米や米麹の分量がやや薄い甘酒に多い傾向があります。
人によって、増強された甘味が「くどい」ように感じてしまうことがあります。
【原材料】米、米麹、食塩、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、酸味料
【原材料】米、米麹、食塩、安定剤(増粘多糖類)、pH調整剤
甘味やとろみが調整されており、甘酒が苦手な方でも飲みやすくなっていることが多いです。砂糖類の添加が多い甘酒は、水で薄められていることも多く、原料の米や米麹にこだわらなくても味の調整ができてしまうので、安価に製造・販売できることがあります。
お子様や食塩が気になる方、お米本来の味を楽しみたい方 →無添加の米麹甘酒
甘味を強く感じたい方 →食塩入りの米麹甘酒
価格と飲みやすさを重視する方 →添加物の多い米麹甘酒
色々な特徴から「甘酒」を見てきましたが、ご自身に合いそうなものはあったでしょうか?
お米や米麹にこだわると、どうしても原価が高くなってしまいます。
素材本来のおいしさをお届けしようと試行錯誤しているのですが、お客様が安価な甘酒に流れてしまうと(作り手としては)少し寂しい気持ちになったりもします…。
また、麹菌のコラムでもご紹介していますが、同じ「米麹甘酒」でも麹菌の種類によって「香り」や「うま味」が違ってきます。
ぜひ、気になる甘酒は実際に飲み比べてみて、お気に入りを見つけてみてください。
ライター:信田ゆり子