こんにちは。
最近、外気と室内の温度差にやられて、食欲不振気味の信田です。おなかの調子もあまりよくないので、腸内フローラのバランスが乱れていないか気になっております。
今回は、バランスの良い腸内フローラを保つためにはどのような食生活が有効なのか?
すでに常識となりつつある3つの概念「〇〇バイオティクス」の切り口からご紹介したいと思います。
豆知識コラムでは、これまで腸内フローラが私たちの健康に密接に関わっていることを紹介してきました。
→詳しくは、とても大切な「腸内フローラ」へ
→詳しくは、腸が腐敗している?へ
そもそも、バランスの良い腸内フローラを維持するためにはどのような食事や生活が大切なのでしょうか?
ポイントは2つあります。
(1)腸内の悪玉菌が増えないように気をつけること
肉や揚げ物が中心の食事が続かないように、野菜や炭水化物をバランスよく摂取しましょう。
また、過度なストレスや睡眠不足も大敵です。自律神経が乱れると排便が滞って便の過剰腐敗が起こったり、下痢を引き起こして腸内フローラのバランスが乱れてしまいます。普段から、適度な運動と質の良い睡眠を心がけましょう。
(2)腸内の善玉菌が増える食事を心がけること
腸内の善玉菌を増やすためには、外部から取り入れる、または、すでに腸内にいる善玉菌を活性化してあげる必要があります。
最近、商品名にも書かれるようになってきた以下3つの概念から、おなかによい食品を選べるようになると良いですね。
・プロバイオティクス(probiotics)
・プレバイオティクス(prebiotics)
・シンバイオティクス(synbiotics)
例えば、乳酸菌などの善玉菌そのもの、または善玉菌が生きたまま入っている「プレーンヨーグルト」や「乳酸菌飲料」等の食品を指します。
1989年、イギリスの微生物学者Fullerにより「腸内フローラのバランスを改善することによって、人に有益な作用をもたらす生菌添加物(食品)」と定義されています。1
さらに、FAO/WHOにより「十分量を摂取した時に宿主に有益な効果を与える生きた微生物」という定義も公表されています。
※pro(共に〜のために)、biosis(生きる)
プロバイオティクスの候補としては、乳酸菌やビフィズス菌が有名です。その中でも、以下の条件を満たすことが科学的に証明された特定の菌株に限って「プロバイオティクス」と呼ぶことができると考えられています。
報告例2
例えば、「難消化性のオリゴ糖」や「水溶性食物繊維」など善玉菌のエサになる食品のことを指します。最近、難消化性デキストリンやイヌリンが注目されており、飲料製品に配合されていることも増えました。
1994年、GibsonとRoberfroidにより「有用細菌の増殖を促進、あるいは、有害菌を抑制することによって、宿主の健康に有利に働く非消化性食成分」と提唱され、翌年執筆された総説内で詳細に説明されています。3
プロバイオティクスに対して、pre(前に〜、先立って)の意味があります。
報告例4
生きた善玉菌(プロバイオティクス)と善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維(プレバイオティクス)を同時に摂取すること、または、両方を含有する食品のことを指します。
シンバイオティクス(synbiotics)はGibsonにより提唱された用語で、synには「一緒に」という意味があります。プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせることにより、双方の機能がより高められると考えられています。
概念として提唱される前から医療現場では「シンバイオティクス療法」として応用されており、病態者や術後の感染予防、炎症抑制などで効果が確認されてきました。
実は、ヨーグルトや漬物、キムチ、味噌、納豆も「シンバイオティクス食品」として紹介されることがあります。
オリゴ糖や食物繊維を多く含んでいるため、プレバイオティクスとしては問題ありません。しかし、多くは「プロバイオティクス」の条件(生きて腸まで届く、腸内で増殖できる菌株)を満たしていないため、厳密にはそこまで名乗ってはいけないこともあります。
乳酸菌の摂取がカギとなる「プロバイオティクス」「シンバイオティクス」を食生活に取り入れる際は、ぜひ「菌株」を確かめるようにしてくださいね。
3つの「〇〇バイオティクス」の違いは整理できたでしょうか?
最近は、テレビや雑誌、商品名としても見かけるようになりました。しかし、まだまだ誤用が多く、消費者には分かりづらいのが現状です。
ご購入の際は、ぜひ“条件”を思い出して、本当に効果の期待できるものを選びましょう!
最近、第4の概念として「バイオジェニックス」が注目を集めています。こちらについては、別コラムでご紹介しますので、お楽しみに。
→新しい概念「バイオジェニックス」とはへ(近日公開)
ライター:信田ゆり子